小原豊明(前)市長がかかげたスローガンを基に 1992年、「宝探し」プロジェクトは始まった。
プロジェクト推進ブレインとしての参加要請を受けた未来政策研究所は、21世紀の地域生き残り戦略であるエコツーリズムの導入を提言した。
この提言は「資源の保全」、「地域の振興」、「観光振興」の3つの統合的な達成をめざすもので、主体は地域住民にあるという新しい日本型エコツーリズムの概念である。
宝を探し、宝を磨き、宝を誇る
そしてその宝を外部の人に伝え、宝とともに生きるまちづくり。
小原(前)市長とその後18年にわたって継続しつづけることになる宝探しムーブメントの第一歩が動き出したのである。
市民から寄せられた7371件の宝に関する情報からスタート
楽しく美しいまちづくり
推進委員会が集めた膨大な資料情報をもとに宝を生かしたまちづくりの指針と提言を練る
宝探しツアー、宝の案内板の設置、宝マップの作成で充実を図る
市の中心部から地区や集落へと、さらに宝探しを深く進めていった。
未来政策研究所にとって二戸市は宝探しの考え方を地元の人と一体となって本格的に展開した初めての場であった。
「地域では当たり前のもの」と思っていた物が、実は外に誇るべき素晴らしい「宝」であることを再発見した時、 人々の表情が明るくなり、積極的にまちづくりに関わろうとする気負いが地域住民の心に生まれたことは大きな喜びであった。
かつてマイナスイメージで捉えられていた「雑穀」であったが、WHO(世界保健機関)がガンや成人病とビタミンの関係を調査した時、 癌が少ない地域として二戸が選ばれていた事が宝探しで発掘され、その価値は180度転じて人々の「誇り」に変わり、外部に向かって発信。 やがて二戸を代表する宝へと歩み始めた。
地域住民を主体とする、地域生き残り戦略であるエコツーリズムの導入から10年の歳月が流れた2002年、東北新幹線二戸駅が営業を開始。
併設の物産販売所「なにゃーと」には、宝さがしで開発された雑穀特産品が数多く並んだ。
エコツーリズムを導入して地域活性化を図ろうという小原豊明市長の要請を受けて始まった「宝さがしによる地域興し」では市民総参加による二戸市の活性化をめざしました。 とりわけ様々な文化を継承してきたお年寄りの参加や、郷土料理、織物などを守り続けてきた女性の参加を重要項目として掲げ、先人達の伝統技術、 慣習や物産など多くの宝をいかしたまちづくりをその構想に入れてきました。
戦略的な宝としてとりあげた「二戸の雑穀」は雑穀王国岩手を牽引するにまで成長を遂げたと言っても過言ではありません。 これらは、行政、地域住民、外部スタッフの恊働により他に例を見ない地域活性化の実績を残しました。 今日の姿は、地域住民が主体となり地道で独創的な歩みを重ねてきたことによって実現したものであるといえると思います。
ナレーション: 未来政策研究所 真板昭夫
二戸市
えのみの会
きばって足沢70の会
浄門の里づくり協議会
岩誦坊クラブ
宝探しから持続可能な地域づくりへ
日本型エコツーリズムとは何か
真板 昭夫 比田井 和子 高梨 洋一郎 著
学芸出版社刊
18年経過した今日でも、小保内敏幸市長のもとへ
新しい宝が報告されつづけています。