南大東島は沖縄本島の東約400kmに位置し、東西5.48km南北6.54kmの隆起環礁の島である。
南大東島は誕生以来、一度も陸地と繋がったことのない絶海の孤島だ。
天然記念物整備活用事業による「島まるごと館」制作に関連し、1998年3月、未来政策研究所は南大東島に初めて足を踏み入れた。
東京からの距離に不安があったが、同時に見せられた一枚の写真に衝撃をうける。
「やってみようか!」
手探りからの出発だった。
南大東島では「ダイトウオオコウモリ」「大池オヒルギ群落」「東海岸植物群落」の3件が1975年に天然記念物の指定を受けていた。 天然記念物整備活用事業は天然記念物を核とする地域活性化を通じて、資源の保存・活用・継承を図ることを目的とする。
未来政策研究所は、「島まるごとミュージアム」事業を実施する際、ほとんどの子どもたちが中学校を卒業すると、 那覇などに進学するため島を離れて行く現状を踏まえ、子どもたちが島を離れても、故郷の島について自信をもって紹介したり、 自慢できるように、エコツーリズムの宝探し活動に重点におき、子どもからお年寄りまで島民が一体となった地域活性化運動を開始した。
宝探しによる、島民のヒアリングや専門家によるフィールド調査を通して、様々な宝が島全体から集まってきた。
島まるごと館 は島の人が中心となり、宝の現場に訪問者を誘う「道標」の役割を担う拠点として設立された。 未来政策研究所は、島まるごと館の設立や、内部の「宝」の分類・整理、制作など様々な面においてプロデュースを担当した。
島まるごと館の宝探しがきっかけになり、島民があたらしい宝を次々に開発し始めている。
吉里正清さんはエコツアーの一環として黒糖造りを体験学習できる工場を整備。 ツアー参加者は吉里さんの畑でサトウキビを収穫し、圧搾機で絞り汁を採り、煮詰めて黒糖になるまでを体験学習できる。
沖縄電力の社内ベンチャー制度を活用して設立されたグレイスラムのホワイトラム酒「CORCOR」は、南大東島の「サトウキビ」を使い、当地で製造され日本各地に出荷されている。
伊佐食堂店主の伊佐盛和さんは、カンスイを使用しないオリジナルの麺 大東そばを考案した。 40℃以上の焼酎に漬けてつくる調味料コーレーグースに欠かせない「島唐辛子」を栽培しているのは伊佐さんのおかあさん。
月桃工房を主宰する新城さんは、ご主人が刈り取った月桃を自然乾燥させて、オリジナルのバッグや帽子の受注制作に励んでいる。
川満恵元さんは8ヘクタールのサトウキビ畑を栽培しながら滋養の多い水芋作りにも精を出す。
未来政策研究所は最初に訪れて以来十余年に渡り、島の活性化と島民の生き甲斐づくり、島の将来を担う人材育成という3つの目標をたてて、 天然記念物整備活用事業以後も村単独、あるいは県事業などを導入しながら島興しの活動を継続している。
吉里 正清 吉里 英利子 吉里 夢芽 川満 恵元 伊佐 盛和
伊佐キヌ 漁港の方々 宮城 克之 宮城 優子 菊池 涼子
新城 鎌祐 新城 幸子 金城 祐子 小澤 瑠璃
TOWARDS a SUSTAINABLE FUTURE